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手を伸ばして触れるのが、パソコンとスマホで、
それに頭が動くままに触っていると、無駄なことに時間を奪われる、
別段見たくもない動画を見ている。
別れを告げられる前まで、私はその人と結婚したいという願望を持ち始めていた。
学校に通うまではもっと立派な学校に通いたいと思っていた。
通い始めるやいなや、すぐ学校に馴染み、私は思いのままに好きな服を
着て、髪の毛にパーマをあてていた。
私は真夏の盛りに、恋い焦がれていた。
横に座るだけで本当は緊張していた。
ドキドキしてた。そのときは心の中では長髪を風にそよがせていた。でもショートがそのときのマイブームだった。若い頃みたいに、周りに流されるのが嫌だった。流されるというか、気圧されるのだ。若さを武器にもち、やれることはなんでもできる、そんなデキる子がクラスにいるだけで、自分の手持無沙汰を痛感する。こんな夢を堂々と胸に抱き、きっとその子にはこの世界は夢を実現できるように見えているだろうなと思うと、ますます苦しくなる。
そう、私は強い子を演じていたのかもしれない。
ショートカット。ショートカットが少し伸び始めれば、すぐさまパーマをあてた。
妹にはおばちゃんと言われつつも、2度もあてたパーマを戻せなかった。
もうおばちゃんでもなんでも言われてもいいと思って学校へ行った矢先、何人かにかわいいと言われ、救われた。
そう、その中にその人はいた。
直接は言われなかったけど、人伝えで言われたというのが一番嬉しかった。
クラスでの飲みで、その人が近くに回ってきた。
今思えば、その人は気になった子には誰にでもそんなことしていたのだと思う。
宴会とかもできる大型の居酒屋で、明かりがほのぼの、掘りごたつといった様式。
特に私はしゃべる人じゃない。お酒を飲む人でもない。宴会慣れもしていない。
その人もそんなにしゃべる人じゃない。
でも、勇気を出してしゃべりかけてくれた、というか、私もがんばってしゃべってた功を奏した。