若者の街へ乗り込む

昼過ぎ、私たちは学生街である場所へ移動していた。

 

予想を上回り、駅の出口を出ると白金ちっくなお嬢様が行きそうなアクセサリー店(か服屋)がどーんと構えていた。

「これが学生街…」

「金持ちすぎる…」

「大学近くてもこれはないでしょ」

そこから、セレクトショップだの雑貨屋さん、ご飯屋さんが街路樹の並ぶ道にズラーッと並んでいた。私立の大学が複数集まると、それだけ周辺も栄えるのか。



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そこからさらに道なりに歩くと、通りが途切れないうちに、目の前に名門私立女子大があった。少し坂になっている開けた広大な土地に、教会のような巨大な建築やら、緑の芝生に被われた建物が建っており、リュックやかばんを背負った華やかな女子が出てくるのである。かろうじて学校と判断できた。


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(芝生に建物が覆われるというか、建物が、切り裂かれた坂に埋め込まれているのである)f:id:lismoonx:20160914023554j:image

「…」

まずは目を見張った。

私たちが通った学校(大学)。狭い敷地にレンガの建物を窮屈に並べたキャンパスだった。グラウンドはかろうじてあったが、これまたキャンパスから少し遠かった。ダンス部たちが踊る場所がなくて、学校の1階の踊り場で踊っていた。

それがなんだ。写真で撮っている場所は大学の構内の一部である。通用門から見た景色というのはほんとうに信じられない、ただのだだっ広い公園なんじゃないかと思ったほどで、あまりにもびっくりした。

  

(2016/07/26 韓国 ソウル 新村、梨大にて)

新人

今週のお題「印象に残っている新人」


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仕事をして、つまずく。でも出勤時間が短くて、まだ吸収しきれてない。同期の人とも昼休憩のとき、しゃべれない。それはなぜしゃべれないかって、もう午前の仕事で頭がいっぱいいっぱいで頭がパンパンなのだ。(ハードな仕事なのだ。) 意外にも今年は春のウキウキさがない。とりあえず頭には血がトクトク流れている。不思議な感触。キーボードを打つ指先が止まらない。明日の昼休憩は正直、一緒に研修を受けた人としゃべりたい。私が年下っていうのは関係ない。壁をぶち破りたい。仕事の難しさというハードルも、人間関係も。
私どうなってしまうだろう。春、こんな不安を抱えたのははじめてのことかもしれない。いつもは公園の桜並木に心を弾ませていた。行く年も行く年も春が一番好きな時期だった。
と、昔の自分と、目の前にいる新人さんを重ねたりして、昔の自分を思い出したりして、この子はこんなことを考えているのかなとか、そう考えたりして、分かりながらも注意とか、叱ったりする。
いっつもいっつも新人を迎えるけど、どの新人も輝いて素敵だ。なんだか私って厄介な新人だったんじゃないかと思ったりする。でもみんな私のことを聞いてくれる。この子達の立派に一人前になる姿が見たい。そんな気持ちで4月を迎えよう。



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日本人はおとなしくてなに考えてるか分からないというが、私から見ると妹がその一人。



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(奇跡的に幼少時の写真が残っていた。
なんか外国っぽいけど、どこなんだ一体…)


妹とは小さな小さな確執みたいなものがあって、それに触れると軽く災いが起こるので(!)、適度な距離を常に置いていた。
若い頃、めったに入らない妹の部屋に入ると、「ふつうの子にもできるすごいこと」という本があって、それは国際協力について書いてる本だったと思う。「すごいこと」したいんだ、す、すごいと思った。


最近、春休みに海外旅行に行くことにした。
どうしてもヨーロッパがいいと言っていたが、治安が悪いのでボツ。母や父は台湾や韓国がいいんじゃないかと言っていたが妹はまさかの

ベトナム

とだけ言った。
不意を突く答えだ。

憧れたあの街

今週のお題「好きな街」

学校を考えるにあたり、○○県や△△△県にある学校も受験したいなどと考えた。しかし、学力の関係で□□県の学校を受験することになった。□□県は「人生で行くことのないだろう都道府県ランキング」の上位にあり、実際受験するときが初めて訪れた時であった。志望校を落とさなければならなかったし、田舎と聞いており、最初は期待できなかった。しかしどうだろう、ネットで学校周辺を調べると魅力が大変ある街だった。

その学校のある市は□□県の県庁所在地ではないが、県内では県庁所在地の次か、また次に規模の大きい市だった。元城下町で城がきれい。近くにある山も富士山ぽくていい。夏のお祭りも目を見張る見所たくさん。桜並木もきれい。そして、明治時代のレンガ造りの建築などが残っており、所々趣のある街だった。

受験が迫るほどに、その街での一人暮らしの生活を思い描き、勉強にも身が入って、合格してやるという気持ちが大きくなった。しだいにこんな所(自宅)に住んでいるより、あそこで一人暮らしする方がずっとましだと思うようになった。実家のある街のお祭りなんて参加したことないし、これからも参加しないんだし、どうせならあそこでのあの街のお祭りに参加し、あの街を愛し、セカンドライフを送っていこうじゃないかと思うようになった。

結果は…ダメだった。実家の近くの学校に幸い合格していたのでそこに通うことに。

それからは結局実家に残ることになった。人生の間ずっとこの街に残ることだろう。一人暮らしする期間がこれからあるか考えたが、無さそうだ。

ひそかに、もしその街に住むことになったら、その街の写真をいっぱい撮って、後々はいい場所を誰かに発表できるくらい詳しくなろうとも考えたけど、無理だ。でも正直自分の街のことも知っているようで知らない。




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最寄駅横にあるお洒落な建物。電車からこの建物のてっぺんしか見えなくて教会があると思ったが、普通の建物だった。一階がコーヒーショップになっている。意外と知らないこともあるもんだ。自分の街を好きになれるようにしたい。

お笑いを見に行く

私は漫才や新喜劇を見に行ったことがない。なんばグランド花月(=お笑いが行われるホール、略してNGK)にかなり近い所に住んでいるし、なんば駅周辺は一応知っているし、新喜劇はよくみてたし、隠れゲラだし、お笑いは好きなのに、お笑いの実物を見に行ったことがない。ここに住んでいると、芸人が身近に感じられるし、なんなら好きなタイプはと聞かれると面白い人と言いたいがそうすると相手が無理矢理笑かそうとする恐れがあるので、そうならないため優しい人などと言いごまかすぐらいだ。

住んでいるところから電車で20分くらいで着き、かつ学習塾のためよく通っていたし、よく遊んでいた場所にお笑いの劇場があるにも関わらず、そしてお笑いはどちらかと言えば好きなはずなのに、なぜか見に行ったことがなかった。

難波。NMB48NMBがここである。

長年の夢を叶えるべくなんばグランド花月に行った。一人で。
一日に3回くらい公演があるらしく、だいたい普通は何組かのコンビが漫才+落語家の落語+新喜劇というセットがお昼などにあり、たまに夜に違う趣旨で漫才だけの公演、あるいは一組のコンビが延々喋る公演、また芸人の有志達が変わったことをするなど、本当に多様だ。
私が行ったのは、「漫才三昧」。漫才三昧は何回も公演があるらしい。


いざNGK

南海通りという商店街をゆき、ゲーセンを越えた辺りで右へ曲がると、開け、左になんばグランド花月。芸人をもじったお菓子が売っているお店や、ラーメン屋があり、花月の前ではキャラクター化した芸人の着ぐるみがある。そして、芸人の声がマイクを通して聞こえて、たぶん行き交う人にチケットを薦めている、どこに声の主がいるのか分からない。誰?生きのいい声がするのだが。でも探してたら「そこのお姉さん」と呼ばれそうな気がしたので、そそくさと2階のホールへ向かう。

ネットでチケットを取ったとき、空席:◎だったので、平日だから空いているのか、と思ったが、大行列をなしていた。家族や子供連れ、そしてカップルだった。ホールの側で映画館の売店みたいなのがある。そこでポテトなど美味しそうなものが売られていたが、さすがに恥ずかし過ぎるので買わない。腹減った。誰か連れてくればよかった。

中へ入る。意外にテレビでみるより狭い。舞台との距離は近い。そして私の席は
結構前だった。こんな近くでテレビで見たことしかない芸人を見れるとは幸せだった。前から十何行目、一番左に座った。
横にカップルが座り、しかも開演5分くらいまで前の列に誰一人座らなかったので、なんとなく気まずかった。しかも彼氏の方が一人で堂々と座る私を見、緊張しながら横に座った。とりあえずホール横でもらった公演のチラシ5枚をじっと見ることを3回ぐらいした。


開幕。

と思いきや、前説の芸人がやってくる。男女コンビ。スーツのお兄さんと、緑の着物のお姉さん。どちらもすっごい声が通り、響き渡るので、なかなか気持ちがよかった。お兄さんは笑わせようとするのだが、噛んだり、観客がまだ笑う態勢じゃないのか、中途半端にウケ、発言するごとに少しずつ顔を赤らめる。お兄さんより一回り若いお姉さんはそんなの構わず、声がとても通る。そして特技のけん玉で最後拍手の練習が終わる。彼らの必死に盛り上げようとする計らいにより、いくぶんか場は温まり、和んだ。じゃじゃ馬というコンビらしい。ありがたい。

そして、始まる。舞台は奥行きが広く、かなりデカい。でもマイクは舞台のいっちばん前の中央に伸びる。幕が下がっても被らないくらいの、一歩歩くと客席に落ちるところにある。芸人たちは袖から「どうもー」と手を叩きながら、そこへたどり着く。どのコンビも、有名なのもあまり知らないのも、ベテランも若手も、冗談抜きで面白かった。初めて見に行ったからなのか、意外と差はないと思った。私は最初からずっと笑いっぱなしで、最後の方は酸欠で頭に血が回らなかったのか、集中できなくなってしまった。だから覚えていない。でも笑い声の絶えない100分だった。横の男にゲラと思われるのが気がかりだが。

終わって、さっとホールを出る。さっき出てたスーパーマラドーナのメガネの方が、チケットの束を持って客に声をかけていた。M-1の決戦一回戦で負けて、この人がヘラヘラしてたら、相方がハラハラ、すっごい悔しそうにしてたのを覚えている。「勝たなあかんねん」とか言っていた。がんばってほしい。

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100分笑うというのは、最近運動不足であった私にとっては一種のエクササイズであり、体が軽くなったのだろうか、なんば駅までかなりのスピードの歩行をしていた。なんか、今年一年間頑張れる元気をもらった。お笑いって最高だ。